これで競馬が見えてくる!レース映像で注目すべき5つのポイント

ノウハウ

過去レースで注目して見るべきポイント

 この項目では、実際のレース映像を見る上でどこに注目すればいいかを紹介していきます。

 これらのポイントを覚えておくことで、あなたのレースを見る目が肥えて、予想の役に立つでしょう。

①道中で物理的な不利を受けていないか

 はい、過去のレース映像から狙いの馬を見つける上で王道のポイントですね。

 物理的な不利とは、具体的には次のようなことを指します。

  • スタートで出遅れた
  • 発馬で後手を踏み、得意なポジションが得られなかった
  • 道中で折り合いを欠き、脚が溜まらなかった
  • 進路が開かずにスムーズさを欠いた
  • 他の馬と接触した煽りを受けたせいで、進路変更や後退を余儀なくされた
  • 馬がつまづいたり他の馬と接触したせいで騎手が落馬しそうになった(または落馬した)
  • 故障等のアクシデントが発生した

 これらの不利で馬が凡走した場合は、そのレースはノーカウント(度外視)してOKです。

 なので、次走以降で人気が下がっていても気にせずに狙いましょう

②展開や馬場傾向、進路の不利を受けていないか

 「①過去レース当日の馬場傾向を把握する」でも述べましたが、実際に見た過去レースで上位入線馬の枠順、脚質、進路に偏りがあり、その偏り(展開や馬場傾向)の恩恵を受けられずに敗北した場合も不利を受けたと見なします

 特に、人気薄の馬が上位に激走したレースはその人気薄の馬が枠順、脚質、進路の恩恵を受けた可能性が高いので、重要な判断材料になります

 実際のレースから例を挙げれば、次の通りになります。

枠順不利の例

【2021年桜花賞 サトノレイナス(8枠18番 2人気2着)】

 レース当日は内枠有利の傾向だったが、サトノレイナスは大外枠からの発走。

 不利な大外枠から上がり3ハロン32.9秒の末脚で追い込んだが、結果は勝ち馬からクビ差の2着に終わった。

 上位入線の馬達は道中ではインコースで脚を溜めた後に直線でもインを突いた馬だったのに対し、レイナスは枠順のせいで直線で外を回すしかなく、8枠という枠順が不利に働いてしまった一戦だったと言える。

脚質不利の例

【2021年エリザベス女王杯 レイパパレ(1枠1番 1人気6着)】

 レイパパレは内枠を利して先行したが、人気薄の逃げ馬が前半1000m59秒のハイラップを作り出す。

 そのせいで逃げ・先行馬にキツイ流れとなり、アカイイトを始めとした後方待機の差し・追い込み馬が掲示板を独占して3連単300万円超えの大波乱を演出。

 一方、1人気のレイパパレは6着に敗れて人気を裏切ってしまった。

 展開利が得られない不利を受けたことが敗因だ。

進路不利の例

【2021年優駿牝馬 アカイトリノムスメ(4枠7番 2人気2着)】

 馬場の3分所から外が伸びる馬場コンディションで、アカイトリノムスメは末脚が伸ばしにくい馬場の2分所に進路取って2着に好走。

 馬場の3分所から外のコースで末脚を伸ばしたハギノピリナ(16人気)を始め、上位に入線した馬の大半が外から伸びた馬だったことから、アカイトリノムスメは直線での進路取りで不利を受けたと言える。

 このように 枠順、脚質、進路の不利を受けた馬が次走以降で恩恵を受けられる立場になった場合は、巻き返しに期待出来ます

③騎手の騎乗ミスがないか

 競馬の敗因の1つに、騎手の誤判断による騎乗ミスがあります。

 具体的には、次のような凡走を見つけたら、騎乗ミスと判断してもよいでしょう。

展開の読み違いによる騎乗ミス

【2021年エプソムカップ ヒュミドール(3枠6番 11人気6着)】

 ヒュミドールは好スタートを切ったが、騎手の判断で先団グループではなく後方の位置まで下げられて追い込みの競馬となる。

 しかし、直線で後方から脚を伸ばすも位置取りが後ろ過ぎたせいで脚を余して凡走

 騎手変更となった次走の小倉記念では出たなりのポジションで脚を溜め、2着に好走した。

脚質変換の不発による騎乗ミス

【2021年金鯱賞 サトノフラッグ(8枠9番 5人気7着)】

 サトノフラッグは普段は中団~後方待機策で結果を出してきた馬だったが、金鯱賞では少頭数だったこともあり、ルメール騎手はサトノフラッグを逃げ馬の直後に付けてレースを進める。

 しかし、直線を向いても末脚を伸ばせず、7着に凡走。

 主戦ジョッキーに戻った次走のエプソムカップではいつもの中団待機策で2着に好走し、巻き返しに成功した。

 このことから、金鯱賞の凡走はサトノフラッグに先行策が合わなかったことが原因だったと言える。

直線での進路取りによる騎乗ミス

【2021年京成杯AH グレナディアガーズ(1枠1番 1人気3着)】

 最内枠からまずまずのスタートを切って中団馬群に控えたものの、4角で外に進路を取ったせいでインコースが有利な馬場傾向を味方に出来ず、3着に敗北。

 直線で大外を回った割に1,2着馬との差が0.1秒しかなかったのを考えると、ジョッキーが直線での進路取りを誤ったことが敗因だと言える

④ローテーションからの不利がないか

 続いて、不得意なローテーションが敗因のケースを紹介します。

 2010年に牝馬3冠を達成したアパパネという馬は、4か月以上の休み明けローテでは(1.0.0.4)という成績です。(※この1着は2歳未勝利時に挙げたもので、他4戦はG2)

 このことから、アパパネは長期休養明けのレースが苦手な可能性が高いと言えます

 もしもあなたが休養明けで敗北or使い詰めで敗北した馬を見かけたら、その馬が苦手なローテーションで敗北したかに注目してみましょう

 そして上手く好走する条件のローテーションを見つけられたら、しめたものです。

⑤馬の手応えはどうだったか

 そして、勝敗によらず直線での馬の手応えも重要な情報となります。

 具体的には、次の項目をチェックして距離変更への対応力やそのレースで求められた能力を測るのに使います。

1.他の馬と脚色が違う

(例)2015年皐月賞ドゥラメンテ、2015年ダービー卿CTモーリス、2010年宝塚記念ナカヤマフェスタ等

 上記の3例は、いずれも他馬をゴール前でギリギリ差して勝ったレースではなく、勝ち馬が直線で他馬がひしめく馬群から突き抜けて圧勝したレースでした。

 大差を付けて勝った場合は、そのレースで求められた能力値が勝ち馬と他の出走メンバーとの間で大きな開きがあったと判断して良いでしょう。

 そのため、今後勝ち馬が大差を付けて勝ったレースと同じような能力が求められるレースに出走するのなら大きな期待が持てます。

 ただし、前走で圧勝した馬が自身の苦手な条件のレースに出てきた場合は要注意です。

 前走で圧勝して人気になった馬は、苦手な条件のレースではあっけなく馬券外に消えてしまい、高配当が付くことが間々あるからです。

(例)2009年日本ダービー アンライバルド

 皐月賞を快勝し、次戦の日本ダービーでは単勝2.1倍の1人気に推される。

 しかし、不良馬場では全く力を発揮出来ず、12着に惨敗してしまった。

 また、ラストランとなった金鯱賞も不良馬場で行われたが、勝ち馬から1.2秒差の5着に敗北したことから、アンライバルドは重い馬場が苦手だった可能性が高い。

 なので、まずは「前走圧勝≠強い」の目線で前走圧勝した馬の過去レースを見て、その馬が本当に強いのかどうかを判断するようにしましょう

 一方、勝ち馬が大勝したレースが勝ち馬にとって不利な展開やトラックバイアスを跳ね除けたレースだった場合は、その勝ち馬がとてつもない能力を持っている可能性が高いです

 ディープインパクトのようにどんな展開でも1着に来る馬がレースに出てくる場合は堅い決着になりやすいので、穴党にとってはそんなレースは見送るのも1つの手かもしれません

2.直線で末脚の速度が緩んでいたかどうか

 直線で騎手に追われたりムチを打たれているにもかかわらず目立った加速を見せずにノロノロと走っている場合は、故障を除けば「スタミナ切れ」や「能力不足」が考えられます。

 スタミナ切れを起こしたのが分かる馬の仕草の1つが、「耳を絞った」かどうかです(下図参照)。

写真は2015年菊花賞。勝ったキタサンブラック(写真左の4番ゼッケン)の両耳はうなじにペッタリとくっ付いている。この状態が「耳を絞っている」状態であり、リアルスティール(写真右の緑帽子)の猛追を振り切るために全力を振り絞っているのが分かる。

 馬の中には自分の力を限界まで振り絞る時、写真のキタサンブラックのように耳を後ろ向きに畳んで走る個体がいます。

 耳を絞った状態=全力疾走の状態なため、馬はこれ以上の加速は出来ません。

 耳を絞った状態が続くとスタミナが減り続け、やがて馬は失速していきます。

 そのため、馬が直線でスタミナがなくなっていたのかを判断する材料として、耳を絞っていたかどうかはとても有効な材料となります

 馬がスタミナ切れを起こしていたかが分かっていれば、次走以降に同じ適性が求められるレースでさらに距離が伸びた時にパフォーマンスを上げられるかどうかが判断出来るようになります。

 それから補足になりますが、2015年の菊花賞の動画では直線でキタサンブラックの耳の動きに注目するとキタサンブラックの余力が手に取るように分かるので、馬のスタミナ切れを図る教材として見てみると面白いですよ。

 一方、能力不足の場合は騎手のゴーサインにはちゃんと反応し、特にバテた仕草を見せずに伸びてきます。

 しかし、そのレースで問われた能力値が足りないばかりに周りの馬達の末脚に付いていけず、後方へと置いていかれます。

 そのため、能力不足の馬がレースで上位に食い込むことは殆どなく、勝ち馬から大差で負けるのがザラです。

 ただし、スタミナ不足のケースとは違い、能力不足で負けた場合は力を出し切っていないため、レース後の疲労はさほど蓄積されません

 そのため、能力不足で敗れた馬が得意条件のレースに出てきたにもかかわらずに低人気だった場合は、絶好の狙い目となるでしょう

過去レースを見れるようになったら出来ること

1.確かな根拠で穴馬を拾えるようになる

 1つ目は、自分で穴馬が拾えるようになります。

 ただし、単なる当てずっぽうや他人の意見に流されて選んだのではなく、「ちゃんと自分で過去レースを見て、納得した上で選んだ馬」というのが重要なのです。

 まず、「自分の目でレース映像から見つけた穴馬」というのは、簡単に自分の予想からこぼれ落ちません。

 つまり、新聞やテレビなどのメディアが注目していない馬だろうと、臆せずに馬券に組み込めるようになるということです。

 競馬に限らず、人間は多数派と違った選択を取る時に不安を覚えるものです

 そのため、生半可な根拠では多数派の意見に抗えずにその意見に合わせてしまい、せっかく見つけた穴馬を結局買えなかったという悲劇に繋がりかねません。

 一方、レース映像を見て穴馬を自分で決めた場合は、たとえ多数派の意見の前でもそう簡単に穴馬を切ることにはなりません

 筆者が過去のレース映像を見て拾った穴馬達の中で特に印象的なのは2021年金鯱賞のギベオンと2021年ローズSのエイシンヒテンです。

 ギベオンの場合は「中京競馬場でのパフォーマンスの高さ」と「一走前の白富士Sで不利を覆した好走を見せていたこと」が穴馬としてチョイスした理由です。

 ギベオンは2018年中日新聞杯で優勝した経験や、2020年金鯱賞では直線で力強く伸びてあわや馬券内の4着に好走するなど、中京競馬場では他の競馬場で行われたレースより活躍が目立っていました。

 さらに、一走前の白富士Sでは斤量59kgを背負いながら差し馬有利な流れを先行し、芝が傷んだコースで粘って勝ち馬と僅差(0.4秒差)の5着に好走していました。

 白富士Sの走りからギベオンの能力は衰えていないと判断出来たため、2021年金鯱賞の記事では推しの穴馬として紹介させていただきました。

 エイシンヒテンの場合も、アカイトリノムスメやアールドヴィーヴルというクラシックG1で上位に入線した強豪相手に善戦したクイーンCと、差し有利な展開で逃げを打って勝ち馬と0.2秒差の2着に好走した忘れな草賞を見て、エイシンヒテンの能力の高さが分かりました。

 そのため、エイシンヒテンも2021年ローズSの記事で推しの穴馬として自信を持ってピックアップいたしました。

 ただし、筆者の馬券下手が祟ってどちらのレースでも馬券的中とはなりませんでした……。

 そして、たとえ予想が外れてしまった場合にも、ちゃんとした理由で選んだ穴馬ならば自分の予想の反省点にも使え、次回以降の予想にも役立てることが出来ます

 このように、レース映像にせよ調教にせよ、自分の目で見て判断したことは予想精度を上げるのに必ず役に立ちます

 したがって、レース映像をドンドン見て自分の目を磨き、どこかでデカイ配当が得られるように準備しましょう!

2.無駄な負けを減らせる

 そして、過去レースを見て大まかな馬の実力が分かるようになれば、自分が勝負すべきレースとそうでないレースの区別が出来るようになり、「無駄な負けを減らせる」ようになるでしょう。

 そもそも、年に何百~何千頭もの馬が出走する競馬のレース全てで勝つことは、未来人でもない限り無理な話です。

 その上、年に1度しか行われない重賞ですら半分どころか10分の1のレースで勝つのも難しいため、レースを選ばずに闇雲に軍資金を投じ損失出すのはナンセンスと考えます。

 また、過去には「馬券で1億5000万円稼いだ男」や「インスタントジョンソンのじゃいさん」が多くのレースで利益を出して多額の払戻金を得た際に、外れ馬券の購入費が経費として認められずに多額の追徴税を課せられた事件がありました。

 私は税制度に詳しくはありませんが、この事件からは「国の裁量次第では、数多くのレースを的中させたスゴイ人達ですら、税金により払戻金がさらに減ってしまいかねない」ということを学びました。

 だから、我々のような一介の競馬ファンが競馬で大儲けするには、無駄な負けを減らして勝負レースで一発ブチかますしかないと思います。

 そのためには、まずは過去レースをしっかり見て、「人気の馬がコケそうか」や「舐められた馬の激走があるか」を事前に推しはかります。

 そして、勝負レースが来るまで機を待ち、ここ一番で大金を張るのが良いでしょう

 私はこの方法で年間の負けを1万円以上減らすことに成功しました

 残念ながら馬券の買い方が下手なのでまだ一発ブチかませていませんが、馬を見る目に関しては確かな手応えを感じており、これからも機をうかがいながら勝負レースで大きく張っていくつもりです。

まとめ

 最後に、この記事で言ったことをまとめます。

過去レースを映像で見る前のチェック事項

  1. 過去レース当日の馬場傾向(トラックバイアス)の把握

見るべき馬場傾向の偏り:

①特定の枠順

②特定の脚質

③特定の進路

  1. 見ようとしている過去レースの条件のインプット

見るべき条件:

①斤量条件

②JRA発表の馬場状態と実際の馬場状態の乖離かいり

チェックする理由:

①少しでも楽に過去レースを見るため

②強いレースをした馬を見つけるため

過去レースで注目して見るべきポイント

  1. レースでの不利の有無

①物理的な不利

②展開や馬場傾向、進路からの不利

③騎手の騎乗ミスによる不利

④ローテーションからの不利

  1. 馬の手応え

①他馬との脚色の差

②直線での末脚の勢い

注目する理由:

①次走以降で人気が下がっても気にせずに狙えるようにするため

②次走以降でパフォーマンスが上がるかどうかを判断するため

過去レースを見れるようになったら出来ること

  1. 確かな根拠を持って穴馬が拾えるようになる
  2. 無駄な負けを減らせる

合わせて読みたい記事

調教予想の参考にご覧ください!

追い切り映像を見なくてOKな、インスタント追い切り診断術!

予想の役に立つ本は下記のページで紹介してます!

※下記のリンクから他の予想者のブログを見て、さらなる予想材料を手に入れましょう!

最強競馬ブログランキング

    コメント