【宝塚記念2020】波乱の鍵は角居厩舎!追い切りからキセキを推す2つの理由!

予想

 さすがにGⅠ――ことグランプリにもなればどの厩舎も仕上げの本気度が違う。

特に有力馬達の動きは一際良く見え、どの馬から勝負するかは例年以上に悩ましい。

 そこで今回は、2020年4月までに延べ1800頭以上の調教を見てきた筆者から、追い切りからキセキを推す理由を2つのポイントから解説することで、読者の方々の競馬予想の一助になることを目指す。

この記事で分かること

  1. キセキ推しの理由を前走追い切りとの変化点から解説

  1. キセキ好走の鍵が角居厩舎の思惑にある理由を追い切りの場所変更から解説

前走追い切りとの変化点

(1)追い切りの内容が改善

 具体的には以下の2点が改善点である。

  1. 首の振り方と余力
  • 比較した追い切り:前走1週前追い切りと今回1週前追い切り

 ラスト1ハロン付近からの加速における首の振り幅が大きくなり、力強さが増していた。それにより推進力が増し、より力強い脚捌きが出来る様になっていた。

 また、余力に関してはゲート再審査で軽い負荷をかけた前走の1週前追い切りよりも明らかに良化している。

今回はゴール前で一杯に追われ、前回よりも強い負荷をかけられた。

それにもかかわらず鋭く加速し、コーナー入りまで追われた勢いをキープし、余力をかなり残していた。

 平たく言えば、去年の宝塚記念時の追い切りに近い動きになっていたのだ。

  1. 負荷が増した
  • 比較した追い切り:前走1週前・最終追い切りと今回1週前・最終追い切り

 前走はゲート再審査の影響で、ゲート再試験への手応えと折り合いを騎手に確かめてもらう軽めの調教だった。

ところが、今回は1週前と最終追い切り共にゴール前で仕掛けるメニューに戻っていた。

 また、キセキは角居厩舎所属馬としては珍しく馬なりでなく鞍上追いの調整が多い馬である。

現に、同厩舎出しのトーセンカンビーナとサートゥルナーリアは馬なり中心の調整だし、後者に至っては日本ダービーの時にすら鞍上が馬を追う調教を行わなかった程だ。

 そんな馬が前走の軽い調教から一転して1週前と最終追い切りで鞍上が馬を追う調教に戻してきた。

 つまり、馬に課す負荷を増やしたことは、単純に状態が上向いたと見ていい

(2)最終追い切りがCWから坂路追いに変更

 キセキの最終追い切りは栗東CWコースで行われるが、今回は坂路に切り替えてきた。

切り替えた陣営の意図については後述するが、坂路への変更は別に体調不良などではなく、宝塚記念制覇に必要な要素を陣営が心得ているからだと感じられた走りだったので、良い変化だと判断した。

キセキ好走のヒントは、最終追い切りの場所変更にあった!

 さて、先程述べた最終追い切りについて角居調教師は次のように述べている。

それなりにしっかりとやっておけば、という感じ。良かったと思います

【出典】 https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=173066 『netkeiba.com』

 ……コメントだけでは坂路変更についての真意は測りかねるので、ここからは私見を交えて最終追い切りの場所変更の真意を解説していく。

何故、あえて坂路調教に切り替えたのか?

 先程チラリと書いたが、「(角居陣営は)キセキで勝ちに来ているから」だと考えている。

そのために足りない能力――つまり阪神競馬場の直線の急坂で減速しないパワーを補強するための坂路調教への変更だろう。(※実際、キセキは去年の大阪杯と宝塚記念の直線で坂を上り切りそうな所で減速してしまっている)

 調整の変更で成功した例といえば、今年の天皇賞春のスティッフェリオが記憶に新しい。

音無厩舎所属の本馬は通常時は1週前・最終追い切り共に坂路で併せ馬をビシバシ行っていたが、天皇賞春出走時は1週前追い切りでCW⇒最終追い切りで坂路というスタミナ強化のメニューに変更し、あわやの2着に好走した。

 このように、体調不良でなく競走馬の能力補強のための場所変更ならば何の問題も無いので、今回の坂路追いへの変更も勝つためには利にかなっていると言えるのだ。

キセキ勝利を狙う陣営の思惑を読むヒントは他にもある!

 次に、同陣営のサートゥルナーリアの調教の変化もキセキ本命説の一因と考える

サートゥルの前走は1週前追い切りを併せ馬で行ったのに対し、今回は併せ馬は行わず、全て単走で行っていた(※サートゥルの今回の1週前追い切りは馬のスピードがありすぎて前の馬達に追いついただけである)。

 これは、サートゥルが「先行競馬」を狙っているためである。

 実際、サートゥルが差しに回った金鯱賞や有馬記念、日本ダービー(※出遅れて想定より後方ポジション)、皐月賞時の1週前追い切りでは併せ馬で併馬を追走するメニューだったのに対し、先行した神戸新聞杯や天皇賞(秋)時の1週前と最終追い切りは単走で行われていた

 そのため、先行勢が比較的手薄な今回はサートゥルナーリアがレースをかき回しに来る可能性が高いのである。

じゃあ、何でキセキを勝たせたいんだ?

 まずはサートゥルでなくキセキを勝たせたい理由を2点述べ、次に陣営が思い描く作戦を述べていく。

  • キセキを勝たせたい理由

①サートゥルが併せ馬を行わなかったから

 仮に陣営の思い描く作戦が「逃げるキセキを先行したサートゥルが交わす」というものなら、キセキ×サートゥルのGⅠ馬同士の併せ馬を行うことで実戦向けの調整が出来たはずだ。

ところが、サートゥルは上記の組み合わせはおろか、併せ馬すら行わない調整を行った(※しかも、サートゥルの17日のタイムは6F79.8というかなり早いタイム!)。

そのため、陣営はキセキ×サートゥルの併せ馬を避けてでもキセキにリズムよく調整を行い、宝塚記念を勝たせたいのだと推測した。

②サートゥルよりキセキの方が勝算があるから

 昨年、キセキは優勝したリスグラシューには完敗したが、3着馬には2馬身もの差を付けている。

片やサートゥルは阪神内回りの実績が無いため、キセキがスムーズに行ければ、勝つ確率はサートゥルよりも高いと考えるのは自然である。

 以上2点が、角居厩舎のエースはサートゥルではなくキセキであると考えた理由である。

  • 角居陣営が思い描く作戦

①キセキ・サートゥルの2頭単騎逃げ

 レース展開のイメージは、今年の天皇賞春のキセキとダンビュライトの道中の位置取りに近い。

1番手にキセキ、2~3馬身離れた2番手にサートゥルが付けてその後の少し離れた場所で大馬群が続き、ワンツーフィニッシュを狙う作戦。

②キセキが飛ばして逃げ、サートゥルが離れた番手で実質逃げ

 レース展開のイメージは、今年の天皇賞春のキセキとスティッフェリオの道中の位置取りに近い。

人気を背負うサートゥルが有力馬のマークを引き付け、キセキを楽に行かせる。

すると、キセキはミドルペースの持続力を活かす展開、サートゥル率いる大馬群はスローの決め手比べとなり、両者の共存が可能となる作戦。

 ①だとサートゥル凡走の可能性があるので、陣営としては②を選択するだろう。

有力勢も多少の先行力があるのでサートゥルまではマークするだろうが、逃げるキセキを捉えに自ら動き、自滅するリスクを踏むとは考えにくい。

 また、キセキにしても逃げ切る能力がある。

前述の通り去年の宝塚記念は勝った馬が強過ぎただけだし、前走の天皇賞春も無茶な逃げを打った割には0.8秒差の6着に踏ん張った地力がある。

 そのため、昨年の好走舞台ならばキセキの復活Vは十分にあるのだ

まとめ

  • キセキ推しの2つの理由

  1. 追い切りから、状態が上向いたと判断したから

(ポイント)

動きが去年の宝塚記念の時みたいになっている!

追い切りメニューが通常時に戻った!

  1. キセキ及び同厩舎のサートゥルナーリアの追い切り変化から、角居陣営の作戦が分かったから

(ポイント)

サートゥルをラビットにして、キセキ・サートゥルのワンツーを狙ってくる!

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